オチ。後日談。

「こんなまだ太陽も出てない時間になあに？」
ユイとミドリを地上に呼び寄せて２ヶ月後のことだった。
時間が少し早すぎるせいか、まぶたが閉じかかり、眠たげで声が低い彼女。
「それはしばらくしてからのお楽しみです。それまで星でも見て待っていて下さい」
そう、後５分もすれば夜明けが始まる。ちゃんと月齢も計算してある。
今日が一番月が細く、優雅に見える日だ。ここが砂漠でないのは残念だが、
あの空の美しさなら、きっと彼女も喜んでくれる。

………

「どうです、この景色！私は是非貴方にこの美しい景色をお見せしたかったんです！」
「どうって……まぁ、綺麗だけど、別に珍しいほどのものじゃ……」
「え。そうはいっても、このような景色、地上以外じゃ……」
彼女はあきれ顔で子供に対するような調子で私を諭す。
「ヒュウガ、シェバトでも夜明けは毎日見られるものよ。」
は、そういえば、シェバトは天空に浮かんではいるが
空や太陽や月が地上と同じく頭上にあるものだった。
「あなたがきれいだと思う景色を見せてくれたのはすごくうれしいんだけど、
わざわざこんな時間にたたき起こされて見るほどのものでも……ごめん、ヒュウガ、
私、もう一度寝直すわね。」
そういって冷たく去っていく妻。
……確かに迂闊にもシェバトの状況まで頭に入れなかった自分の不覚であるが……
あの、いとおしいと思える人と一緒に、という夢が……嗚呼！


意気消沈からしばらくして。
再び私は考え直す。
純粋で私の話すこと全てに驚き、感動し、
そして慕ってくれるあの可愛いフェイならば！
私は夜明けの空の月に誓ったのだった。
今度こそ夢を叶えてみせる、と。


大蛇足。
月の名称は順番に仏語、英語、日本語、ラテン語（伊語、西語）、独語、アラビア語、韓国語、そして最後が中国語モドキ。普通話（標準語）ではユエ[yue]が正確。広東や福建、四川の方言ならああいう発音ありそーな……（オイ）
ＥＮＤ

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