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◆御都合主義とお約束 メタルスライム出没地域でレベル上げに努めるつもりがひどい事に。 やられる！ 文秀は目をつぶって覚悟を決める。 しかしいつまでたっても最後の一撃がやってこない。 恐る恐る目を開けてみれば元述が先程から全く動いていないのが分かる。 「元述？」 その声とあわせて元述は構えていた刀を取り落とす。 「気がついたか、元述」 ホッとして文秀は声をかける。 が。 ちょっと待て。 なんだか気のせいか、非常にいや〜な雰囲気がないか。 俺を見るこいつの目つきとか、妙に荒い息だとか。 文秀をじっと見つめるその瞳に揺らめくのは情欲の陽炎か、それとも。 不器用な手つきで頬を撫で、髪に触れるその様子は、 まるで大切なこわれものを扱うような、もしくは愛しい恋人に接しているような。 そこまで考えが到って文秀はゾッと全身に鳥肌が立つ。 男なんぞに犯されるぐらいなら殺された方がずっとマシだ！ あわててもがき、元述の下から逃れようとするが、 運は一行の中で抜きんで悪いが、腕力はパーティで一番を誇る元述である。 文秀の必死の抵抗も空しくがっしりと、完全に体を固定されてしまう。 「目を覚ませ、元述、こーゆー不毛なことはな、 後で後悔するに決まってるんだ。な、だから元述…」 懇願に近い文秀の説得も全く元述には聞こえていない。 「貴方が悪いんです。貴方はいつも、私の心を掻き乱し、私を苦しめる。 どうして貴方は……」 と、訳の分からないことを口にしながら、ゆっくりと元述の顔が文秀のそれに近づく。 「ぎゃーーーー馬鹿やめろーーーーー!!!!」 すわ、文秀の貞操の危機か？！ 唇が重なる直前の事だった。 元述の目に光が戻り、目の前に文秀の顔があるのに気付いて あわてて後ろに飛びずさり、勢いのあまり尻餅をつく。 「ななななな何が、どうして将軍が俺の……」 元述はしばらく自問してから文秀を顧みて、 「それにしても将軍、なんて破廉恥極まりない格好を」 上下ともに所々服が破れ、肌もあらわな文秀の姿を見て真っ赤になって顔を背けるが、 すぐにちら、ちらりと視線を文秀の方に向けて 傷や服の切り口で目が止まり、そのまま釘付けになる。 [刃物による斬り痕] → [刃物＝剣を装備しているのは自分だけ] → [自分がやった] と、頭の中で瞬時に事実を導き出し、更に先程の状況を思い出して、 さっきまで赤かった顔を、サーッと音を立てて真っ青にさせる。 「……私が、やったんですか」 無理矢理何とか出した風の元述の問いに文秀は黙ってうなづく。 「お、俺と言う奴は！！」 思わず自らの拳で自分の頭を小突く。 一行で一番の腕力で。 ヲンスルは 63のダメージを うけた！ ヲンスルは しんでしまった！ 「こいつ…まだメダパニってたのか……？」 元述がくたばったのは俺がメタルスライムにつられて こいつの体力を回復しなかったせいだが、 こいつも俺にあんなおぞましい目にあわせたんだ、 これでプラマイゼロだ、俺はなーんにも悪くない。 ただ唖然と元述の自滅した光景を眺めてから、文秀は誰にというわけでもないが 心の中で言い訳を繰り返すのだった。 蛇足：お約束ネタ。 メダパニにかかると味方を攻撃するようになる。もちろん自分自身も攻撃対象。 ちなみに現在LV21の各人の運の数値はムンス33、アジテ61、ヲンヒョ71、そしてヲンスルは17（ドーピングで多少上げたにもかかわらず）。「名は体を表わす」ですか（泣） (050305) |