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◆御都合主義とお約束。 メタルスライム出没地域でレベル上げに努める。 「将軍、人さらいを追うのではなかったんですか」 黒コショウを手に入れてポルトガ国王に差し出せば船を手に入れられる、 その為に遙か彼方西南の町ハバラタまでやって来た一行だったが、 町についたとたん娘が何者かにさらわれ、更にその恋人であった 黒コショウ商人がそれを追って店を留守にした為に、 結局手に入れる事ができなくなってしまった。 しばらく待ってみたものの、ミイラ取りがミイラになってしまったのか、 戻ってくる様子が無い。 仕方なく一行は人さらいのいるというアジトに向かう予定であったはずが、 なぜかその途中に見つけたダーマ神殿の付近で留まっている。 「別に誰かを転職させるわけではないのでしょう？」 元暁は先程から上目使いで自分よりずっと背の高い文秀の顔を覗き込んで尋ねる。 ダーマ神殿では職業の転職ができる。例えば魔法使いから戦士へ、という風に。 元暁は魔法使いという職業を気に入っている様子で、前もってけん制する。 「当たり前だ、まだそんな余裕があるわけないだろ。そうではなくて、だ。 ここにはメタルスライムって魔物がいてな、 こいつはえらく固くしかも打撃しか効かないんだが、 倒すと一気にレベルを上げることができるって話だ」 「ああ、なるほど、この機会に経験をしっかり積んで、人さらいに対抗すると」 さすが将軍の深謀遠慮、と元暁は感心することしかり。 「そんな悠長なことをしているうちに、商人達が人さらいに殺されるっていう 可能性を考えないんですか」 相変わらずの冷静な阿志泰の言葉だったが、 「ばーか。この世界では俺達がたどり着くまで、 そういった事件は起こらないようになってんだよ」 どうやら文秀もかなりこの世界になじんできたようだ。 と、いう事でメタルスライム狩りの為に神殿付近をうろつき回っている一行である。 しかし、出没するモンスターはメタルスライムばかりではなく、 かなりの強さの魔物達がわんさかと、一行に牙を向く。 一番その影響を受けているのは先程から会話に参加していない元述である。 生来の運の悪さによるものか、その傷だらけの姿を見て哀れを感じぬ者はなく。 (阿志泰除く） 「…大丈夫か、元述」 「は、なんとか」 「しょうがねぇな、俺が魔法で回復してやるよ」 そういって元述の体に手をかざす文秀であったが。 メタルスライムが あらわれた！ げんじゅつしが あらわれた！ キラーエイプが あらわれた！ 待ちに待ったメタルスライムの出現に文秀は目を輝かせて、 元述を回復する前に攻撃態勢を取る。 「元述は俺とメタルスライムに攻撃を集中、 元暁は魔法で一気に他の奴らを片付けろ！ 阿志泰、お前は先ず元述にべホイミ（回復呪文／中）を！」 「はい！」「分かりました」と素直な二人に対して 阿志泰の反応はあまりよろしくない。 「えー、彼にですか。でも、まぁ、将軍のご命令ならば致し方ありま…あ」 げんじゅつしＢは マヌーサを となえた！ ここで幻術師のマヌーサ（幻惑魔法）が発動し、 とたん真っ黒な霧のようなもので何も見えなくなり、散り散りになる一行。 |